出生前検査について

形態学的検査：胎児超音波検査

胎児超音波検査は、レントゲンと異なり赤ちゃんに害を及ぼす心配はなく、赤ちゃんの形や大きさ、体の動きをリアルタイムで確認できます。
4Dエコーでは、あくびや羊水を飲む様子など、赤ちゃんの表情や動きを立体的に観察できることもあります。この検査は、通常の超音波検査も含めて「出生前検査」の一部とされています。
当院では、検査に関する説明書と同意書をお渡ししておりますので、ご確認のうえご提出をお願いいたします。なお、当院では“初期胎児ドック（妊娠10〜13週）”や“胎児ドック”は実施しておりません。ご希望の方には、実施している医療機関をご紹介いたしますのでお申し出ください。

通常健診で行う超音波検査

妊婦健診で行う超音波検査は、主に赤ちゃんの大きさの推定（頭殿長、頭周囲径の計測）、推定体重や羊水量、胎盤の位置をチェックします。

胎児超音波スクリーニング検査

胎児超音波スクリーニング検査は、赤ちゃんの体の発育や臓器の形に異常がないかをチェックする検査です。主に妊娠中期（19〜21週頃）に行われ、赤ちゃんの心臓、脳、脊椎、内臓、手足など、全身を観察します。この検査の目的は、できるだけ早い段階で異常を見つけ、適切な管理や準備ができるようにすることです。異常が疑われた場合には、さらに詳しい検査や、必要に応じて専門の医療機関をご紹介することで、お母さんと赤ちゃんにとってより安全な出産と出生後のサポートにつなげます。
ただし、超音波検査にも限界があり、赤ちゃんの向きや成長の状況によっては、すべてを正確に評価できないこともあります。また、出生後にしか確定できない異常もありますので、その点もご理解いただきながら検査を受けていただきます。

対象期間：妊娠18週〜妊娠21週

※週数が早すぎると小さすぎるため、評価が困難です。

対象期間：妊娠28週ごろ

赤ちゃんの体の中では、心臓に関する病気（先天性心疾患）が最も多いといわれています。また、心臓は他の臓器に比べて構造が複雑で、お腹の中の赤ちゃんでは心臓自体も非常に小さいため、細かい部分まで詳しく確認するのは難しいことがあります。そのため、この時期にもあらためて心臓のチェックを行っています。

3D/4Dエコー

3D/4Dエコーに対応した超音波機器を導入しており、お腹の赤ちゃんを立体的に、よりリアルにご覧いただけます。赤ちゃんの動きや表情の変化も鮮明に映し出されます。撮影に最も適している時期は、妊娠25〜30週頃とされています。当院に通院中の妊婦さんは、妊娠12週以降の健診時に、短時間ですが無料で3D/4Dエコーの映像をご覧いただけます。ただし、赤ちゃんの体勢によってはお顔が見えにくい場合もありますので、ご了承ください。

遺伝学的検査（染色体や遺伝子の異常を調べる検査）

遺伝学的検査には、結果で確定診断ができる「確定的検査」と、病気の可能性を確率で示す「非確定的検査」の2種類があります。非確定的検査で異常が疑われた場合は、必要に応じて確定的検査を行うことが勧められます。当院で行えるのは、非確定検査のクアトロテストのみです。

クアトロテスト（母体血清マーカー検査）：検査時期：妊娠15～18週：非確定的検査

母体の血液を使って行う検査で、赤ちゃんに染色体異常などの先天性疾患がある可能性（確率）を推定する検査です。調べられる病気には、ダウン症候群（21トリソミー）、エドワード症候群（18トリソミー）、開放性神経管奇形（二分脊椎、無脳症）があります。
血液検査では、母体血中のAFP（αフェトプロテイン）、非抱合型エストリオール（uE3）、hCG（ヒト絨毛性ゴナドトロピン）、インヒビンA（Inhibin A）の4つの成分を測定し、その結果からリスク（確率）を計算します。この検査は、母体への負担が少ないという特徴がありますが、確定診断ではなく、あくまで確率を推定する検査であることをご理解ください。

NIPT（非侵襲性出生前遺伝学的検査）：妊娠10週以降：非確定的検査

この検査は、母体の血液を用いて、ダウン症候群（21トリソミー）、エドワード症候群（18トリソミー）、13トリソミーの3つの染色体異常の可能性を調べる非確定的検査です。感度は約99%と高く、母体血液中に含まれる胎児由来のDNA断片を解析することで、赤ちゃんの染色体異常のリスクを推定します。
この検査は、検出率や陰性的中率が高く、また母体や赤ちゃんへの負担が少ない（非侵襲的）というメリットがあります。ただし、あくまで確定診断ではないため、結果が陽性だった場合には、確定診断のために羊水検査などの追加検査が必要となることがあります。