月経時に強い下腹部痛や腰痛、吐き気、頭痛、倦怠感などが現れ、日常生活に支障をきたす状態です。単なる「生理痛」とは異なり、痛み止めが効かない、学校や仕事を休むほどつらい場合もあります。
種類と原因
機能性月経困難症
- 子宮や卵巣に異常がなく、10〜20代に多い
- プロスタグランジンという物質の過剰分泌で子宮が強く収縮し、痛みが起こる
月経のお悩み
月経時に強い下腹部痛や腰痛、吐き気、頭痛、倦怠感などが現れ、日常生活に支障をきたす状態です。単なる「生理痛」とは異なり、痛み止めが効かない、学校や仕事を休むほどつらい場合もあります。
などの病気が原因。月経時以外にも痛みが続くことがある。
通常の月経周期は25~38日で、出血は3~7日間程度続きます。これから外れる状態を「月経周期異常」と呼び、女性の体調やホルモンバランスの乱れ、病気などが原因で起こります。
種類 | 説明 |
---|---|
頻発月経 | 月経周期が24日以内と短く、月に2回以上月経がくる状態。排卵異常が関係することも。 |
希発月経 | 月経周期が39日以上と長く、2〜3か月に1回程度しか月経がない状態。 |
無月経 | 月経が3か月以上停止。初経がない場合は「原発性無月経」、あったのに止まった場合は「続発性無月経」。 |
月経周期が24日以内と短く、月に2回以上月経が起こることがあります。多くは排卵が不安定であり、無排卵が関係しています。原因には、排卵がうまくいかない無排卵やホルモンの乱れ、ストレス、過度なダイエット、子宮の病気などがあります。放っておくと貧血や妊娠しづらさにつながることもあります。治療は原因に応じて、ホルモン療法(低用量ピルなど)や生活習慣の改善を行います。
月経周期が39日以上と長く、年に数回しか月経が来ない状態です。無排卵であることが多く、ストレスや急激な体重変化、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、内分泌の病気などが原因となります。放置すると不妊や無月経、子宮内膜の異常を引き起こすことがあります。治療は、ピルなどのホルモン療法や、原因となる病気の治療、生活習慣の改善が中心です。妊娠を希望する場合は排卵誘発剤を使うこともあります。
無月経とは、月経が来ない状態で、原因によって「原発性(18歳になっても初経がない)」と「続発性(今まであった月経が3か月以上止まる)」に分けられます。ホルモンの異常、ストレス、体重の変化、卵巣や下垂体の病気、薬の影響など、さまざまな原因があります。続発性無月経では、まず妊娠の有無を確認し、その後、ホルモン検査や超音波検査で原因を探ります。視床下部・下垂体の機能低下、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、早発卵巣不全(POI)、高プロラクチン血症などが代表的な原因です。
治療は、原因に応じてホルモン療法(低用量ピルなど)や生活習慣の改善、ドパミン作動薬の使用などを行います。妊娠を希望される方には不妊治療が検討されることもあります。無月経が続くと、骨粗しょう症や子宮内膜の異常を引き起こすこともあるため、早めの受診が大切です。
月経の量や日数に異常がある場合、以下のように分類されます。
異常の種類 | 内容 |
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過多月経 | 出血量が非常に多く、ナプキンが1時間で足りない、血の塊が出る、貧血になることもある |
過少月経 | 出血量が極端に少ない状態 |
過長月経 | 月経が8日以上続く |
過短月経 | 月経が1〜2日で終わる |
器質的原因
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮頸管・内膜ポリープ、子宮体がん・子宮頸がんなど。必要に応じて内診や超音波、がん検査が行われます。
機能的原因
ホルモンバランスの乱れ(黄体機能不全、無排卵周期など)によるもの。10代や更年期に多くみられます。
月経量が非常に少ない、または期間が短い場合も、ホルモン異常や排卵障害が隠れていることがあります。ストレスや体重の急変なども影響します。症状が続く場合や日常生活に支障がある場合は、早めの受診をおすすめします。
月経前症候群(PMS)は、月経の3~10日前に現れる心身の不調で、日本人女性の約70~80%が経験し、約5%は日常生活に支障が出るほど重症です。特に思春期の女性に多くみられます。
はっきりとした原因は不明ですが、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の急激な低下が関係するとされ、ストレスや生活習慣も影響します。
こころの症状
イライラ、気分の落ち込み、不安感、集中力低下
からだの症状
むくみ、乳房の張り、腹痛、頭痛、倦怠感など
※精神的症状が強い場合は「PMDD(月経前不快気分障害)」の可能性もあります。
月経前に症状が出て、月経開始とともに軽くなることを確認します。症状日誌の記録が役立ち、他の精神疾患との区別も大切です。
薬を使わない方法
規則正しい生活、リラックス法、栄養バランス(ビタミンB6・カルシウム)、アルコールや喫煙の制限
薬を使う方法
低用量ピル、抗うつ薬(SSRI)、漢方薬(体質に応じて)、鎮痛薬・利尿薬など症状に合わせて使用
月経移動とは月経を意図的にずらすものです。低用量ピルや中用量ピルを服用することで早めることも遅らせることもできます。月経を外したい日の直前だと月経移動できなくなることがあるため、予定が決まったら早めの受診をお勧めします。
月経7日目以内にピルを開始し、遅らせたい時期まで内服します。より確実な方法ですが、あまり長期間内服すると途中で破綻出血が起こります。
月経の予定日のおよそ5日前からピルを飲み始め、月経を避けたい日まで内服します。ピルを内服している期間中は月経が来ません。通常、飲み終えてから2~4日で月経がきます。この方法では、排卵日以降にピルを内服するので、妊娠の可能性がないことが条件になります。
月経が始まって2~3日目からピルを飲み始め、月経を避けたい日の10日前まで内服します。飲み終えてから2~4日目でいつもより少ない量の月経が来ます。
ホルモンの種類、投与期間、個体差によってうまくいかないことがあります。この方法では、できるだけ早めに受診する必要があります(ずらしたい月経のひとつ前の月経が始まる前に受診してください)。
※低用量ピルをすでに使用している場合、休薬期間を設定することにより月経のコントロールが可能です。
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