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性感染症
クラミジア・トラコマチスという細菌が、主に性行為を通じて感染し、子宮頸管に炎症を起こす性感染症です。男性では尿道炎、女性では子宮頸管炎（子宮の入り口の炎症）として発症し、男女ともに無症状の感染者が多く存在します。無症状のまま進行することがあり、重大な合併症を引き起こすこともあるため、早期の発見と治療が非常に重要です。気になる症状がある場合や感染の可能性がある場合は、ご相談ください。
多くは無症状ですが、おりものの増加、不正出血、下腹部痛などの症状が現れることがあります。感染が子宮や卵管を経て腹腔内に広がると、卵管や卵巣の炎症、骨盤内炎症性疾患（PID）を引き起こします。さらに上腹部にまで感染が及ぶと、肝臓周辺に炎症が広がることもあります。PIDによって卵管が狭窄すると、不妊症や異所性妊娠（子宮外妊娠）の原因となることがあります。また、妊娠中に感染すると、流産や早産、新生児への感染（結膜炎や肺炎）などのリスクが高まります。
子宮頸管をぬぐい、検体を採取します。この検体をPCR検査に提出し診断します。
抗生物質の内服または注射で治療を行います。
淋菌感染症は、主に性行為によってうつる性感染症で、女性では子宮頸管炎を、男性では尿道炎を起こします。症状としては、不正出血やおりものの増加、排尿時の痛みなどがありますが、女性の約半数は無症状とされています。感染が進行すると、腹腔内にまで広がり、骨盤腹膜炎や不妊症、異所性妊娠の原因になることがあります。また、喉や直腸、まれに眼にも感染することがあります。咽頭感染は多くが無症状ですが、感染者の10〜30%で見つかることがあります。妊娠中に感染すると、出産時に新生児に結膜炎（目の炎症）を引き起こす可能性があります。
性器の検体（子宮頸部や尿道）、咽頭（うがい液など）の検体を採取し、この検体をPCR検査に提出し診断します。クラミジアとの重複感染がよく見られるため、同時検査が推奨されます。
主に抗生物質の注射で治療を行います。
腟トリコモナス症は、トリコモナス原虫という小さな寄生虫によって起こる性感染症です。女性では主に腟や外陰部に炎症を起こし、不快な症状が現れることがあります。感染は性行為が主な原因ですが、タオルや便器などを介して感染することもあります。幅広い年齢層（子どもから中高年）で感染例があります。また、腟だけでなく、子宮頸管や尿道にも感染します。
感染すると、以下のような症状が見られることがあります
ただし、10〜20%の人は無症状で、気づかないうちに感染が広がることがあります。
腟分泌物の顕微鏡で観察し原虫を確認する方法や培養法
抗原虫薬（メトロニダゾールやチニダゾール）の内服
梅毒は、「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因の性感染症（STD）です。感染している人の性器・口・肛門などの皮膚や粘膜に触れることで感染します。感染すると、陰部や口のまわりに「しこり」や「ただれ」ができる、手のひらや足の裏、体全体に発疹が出る、リンパ節の腫れ、発熱といった症状がでます。こうした症状は、自然に消えてしまうことがありますが、病気が治ったわけではありません。そのまま放っておくと、体の中に広がり、心臓や脳に影響が出ることもあります。
近年、10代〜30代の女性のあいだで梅毒の感染が増えています。とくに気をつけたいのが、妊娠中の感染です。赤ちゃんにも梅毒がうつってしまうことがあります（先天梅毒といいます）。赤ちゃんにうつると、流産や死産になることがあります。また、生まれてきても、難聴・心臓の病気・骨や歯の異常・発達の遅れなどの影響が出ることがあります。感染しているかどうかは、血液検査（梅毒抗体検査）で簡単に調べることが出来ます。治療は、抗生物質の内服もしくは注射でできます。妊娠中に見つかっても、注射で治療できるので、早めに治療を始めることが大切です。相手がよくわからない性行為をした、コンドームを使わない性行為があった方は、検査をおすすめします。妊娠初期に陰性でも、妊娠中に感染することもあります。心配なことがあれば、早めにご相談ください。
最後に、梅毒は、きちんと治療すれば治る病気です。しかし、治ってもまた感染するので、ふたたび感染しないように気をつけることも大切です。
骨盤内炎症性疾患は、子宮や卵管・卵巣などを覆う腹膜に炎症が起こる病気で、細菌感染（クラミジア・淋菌など）が主な原因です。
症状
下腹部痛・発熱・不正出血・膿のようなおりものなどの症状が見られます。
治療
点滴や内服の抗菌薬の投与が中心です。
重症の場合は、膿の排出処置や手術が必要なこともあります。
放置すると不妊症や慢性の骨盤痛の原因になるため、早期発見と治療が大切です。
気になる症状がある場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
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